平成20年度 荒尾市医師会 事業計画

昨年暮れも押し迫って突然の衆議院議員解散総選挙。アベノミクスの是非を問うとのことでしたが、地方には景気の浮揚感はないにもかかわらず、野党の準備不足で連携体制が作れず、自民党の大勝で終わりました。円安が進行し、輸出産業は好景気で2015年の春闘では大企業は軒並みベースアップの動きが広がっています。この影響が中小企業にも地方にも好影響をもたらすことを願うばかりです。今後はアベノミクスの第3の矢、成長戦略を強烈に推し進め、農業・医療・雇用・エネルギーの分野に切り込んでくると思いますが、バックには経済財政諮問会議がついておりますので、新たな市場・ビジネスチャンスという発想になると思われ、非常に危険です。営利企業の医療への参入を阻止するためにも医師会としては国民の生活と健康を守るために、世界的に見ても少ない負担で満足度の高い非常に優れた、いつでもどこでも誰でも安心して医療が受けられる「国民皆保険」を堅持すること、そして国民の視点に立った、多角的活動によって、真に国民に求められる医療提供体制の実現に向けて、全員集合で団結する必要がいるでしょう。
荒尾市では同じ暮れの市長選挙で山下新市長が誕生し、1月19日に就任されました。若くて県庁で活躍された経験を持たれ、優秀な方ですので、荒尾市医師会としては、今後、行政との連携が重要となる中、荒尾市の保健医療福祉に対してどのようなビジョンをお持ちなのか、理想論でなく経済的裏付けのある具体的政策をお示しいただきたいと思っています。
団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年に向け、病床機能分化と連携、在宅医療介護の充実、医療従事者の確保と勤務環境の改善により地域の特性に応じた地域包括ケアの推進が求められており、国は医療介護総合確保推進法を昨年6月制定し、この法律に基づいて病床機能の報告制度が実施され、本年4月から地域医療構想策定がスタートします。地域医療構想は病床機能報告制度並びに地域における各医療機能の推定需要をもとにそれぞれの地域における医療や介護の必要度に応じた提供体制を構築しようと言うものです。
荒尾でも地域包括ケアシステムの構築と地域医療ビジョンの策定が2015年度の主たる事業となると思います。地域包括ケアシステムの構築に関しては2013年10月より熊本県や荒尾市と協力し、荒尾市の医療・保健・福祉・介護の多職種間の垣根を越えた連携を図り、荒尾市在宅医療体制整備検討会議を立ち上げ、会議を重ね先進地視察や講演会を開催し、2015年2月7日、荒尾市在宅医療連携室「在宅ネットあらお」の開所式を盛大に開催する事が出来ました。いよいよこれからが大変ですが医療介護総合確保推進法に伴い将来的には市が実施主体となりますが、医師会は連携して運営していくことになるでしょう。今後、人材不足の解消、住民への啓発、ボランティア組織の設置など問題は山積みです。
地域医療計画に関してですが、荒尾市民病院の新築移転の問題が大事です。昨年10月より始まった病床機能報告に基づいて、急性期医療を担う荒尾市民病院の存在が非常に大事になりますので市には遅滞のない建て替えをお願いしたいと思っています。回復期に関しては医師会を中心とした病診連携が必要となり慢性期は在宅医療が中心になると思います。荒尾市の地域医療は荒尾市で解決したいと考えますので、医師会員全員のご協力をお願いしたいと思います。
保健医療福祉の充実は安心安全な市民生活の基盤であり、このような理念の下に21世紀における地域医療の更なる発展に会員一致団結し、地域住民の期待する保健医療活動に向け事業活動計画を実施いたします。

平成27年度事業計画重点項目

1.倫理の高揚

医師は地域社会のリーダーであることを意識し、自ら資質の向上に努め、驕ることなく、お互いを尊敬し、自他共栄を基本とし、患者の診療に際しては常に患者の立場に立って丁寧な説明に努める。

2.生涯教育の推進

日医・県医医学講座、学術講演会、各種研究会・勉強会での研修の強化、充実に努める。

3.地域保健に関する事項

(1)乳幼児保健活動の充実
乳幼児健診を通じて早期介入すべき疾病を発見するとともに育児を支援し、予防接種活動を通じてワクチンで予防可能な感染症を未然に防ぐよう努める。
(2)学校保健活動の充実
少子社会が進み、小中学校の統廃合が進む中、学校保健委員会を各校で開催し、知育・徳育・体育・食育の向上に貢献し、児童生徒の心身の健全育成に努める。
(3)在宅医療の推進
第6次保健医療計画で5疾病・5事業に在宅医療が加わり、全国的に在宅医療の体制作りが進んでいるが、当医師会でも平成25年度に荒尾市在宅医療連携体制整備検討会議を立ち上げ、医療・介護・福祉・行政の多職種間で検討を重ね、平成26年度は荒尾市在宅医療連携室「在宅ネットあらお」の開設に至った。今後は、この在宅ネットあらおを中心に、市民が住み慣れた地域で安心して生活が送れるような医療介護連携体制の構築を加速化させていくための活動を行っていく。
(4)健診活動の充実
特定健康診査・特定保健指導を支援し、生活習慣病の予防に努める。
(5)産業保健活動の充実
労働者の体と心の一体的健康管理や作業環境管理、作業管理などを含めた総合的労働衛生管理についての窓口相談、企業訪問指導、産業医活動を継続していく。
(6)地域スポーツ活動への協力
(7)「いきいき健康づくり教育講座」の充実
(8)「荒尾市健康福祉まつり」の充実

4.医療対策に関する事項

(1)小児平日夜間救急診療体制の堅持
荒尾市民病院の小児科常勤医が確保されているが、1人だけでいまだ十分とは言えない状態である。平成17年5月より発足した本体制の充実発展のために、荒尾市民病院救急医とともに隣接大牟田医師会および大牟田市立病院と連携し、永続性のあるものに構築していく。また、玉名郡市医師会と共同して小児診療の研修を通じてさらに連携を進める。
(2)救急・休日医療対策
玉名郡市医師会・大牟田医師会と協力し、「有明地域」としての救急医療体制を考えていく。荒尾市民病院・大牟田市立病院・大牟田天領病院・公立玉名中央病院が基幹病院として重症患者を受入れ、専門的チーム医療に専念できるように消防救急隊と各医師会が連携を密にして一次医療、とくに平日診療時間帯での一次救急医療は「かかりつけ医」である医師会員が積極的に担う様に、また休祭日における当番医でも、軽症患者の受入れに積極的に努める。現在、大牟田医師会と共に休日眼科診療を行っているが、耳鼻科の輪番制の要望もあり今後の取り組みを大牟田医師会と共に前向きに検討したい。また、玉名郡市医師会との連携も進めていく。
さらにタクシー代わりに救急車を利用しないように、窓口にポスターを掲示するなど市民への啓発に努める。
(3)広域災害への対応の組織づくり
消防・行政と連携を密にして、災害時の救急体制表を作成し、年間数回の模擬訓練や連絡網のテストを行う。また、東日本大震災の教訓を踏まえた新しい防災計画を荒尾市とともに作っていく。
(4)医療事故防止対策と相互支援対策
不幸にして事故が発生した場合、適切な救急処置を行った後、早期に荒尾市医師会を通じて県医師会にその後の対応を依頼する。医療安全研修会などを通じて事故防止の普及啓発を行う。
(5)医療施設の機能分担と相互連携の推進
全国的に2025年問題への対応が叫ばれているが、昨年度後半に病床機能報告制度が開始され、本年度は医療圏ごとに「地域医療構想」の提出が求められている。荒尾市は他の自治体に先駆けて超高齢化から人口減少社会へと推移していくことが予測され、それに対応可能な制度作りが急務となっている。地域の各医療施設が(高度)急性期、回復期、慢性期の機能分担を調整し、県のモデル事業である在宅医療・介護連携推進事業の中で築かれた行政・介護・福祉との多職種協働体制を基礎に、荒尾市独自の地域医療構想の策定を行う。
(6)適正な保険医療の確立
会員は検診とも捉えられる過剰な検査を控え、重複受診にならないように、適正受診を指導し、良識ある日常診療に努める。信頼できるジェネリック薬品は積極的に使用し、限りある医療資源を有効に利用する為、公正適正な保険診療に努める。また個別指導においては主張すべきは主張し、自らも正すべきは正して適切な診療に努める。
(7)医療情勢の検討
政局が不安定で政権の交代もありうる情勢のもと、インターネット・日医ニュース・メディファックスなどのIT情報のほか、熊本県医師会からの情報も加えて、最新の医療情勢を分析し、「あらお医報」等で会員に伝達する。

5.介護保険・障害者自立支援法の公平公正な運営

民間に開放された介護保険事業は15年を経過し、平成27年4月には第6回目の介護報酬改定が実施される。医師会会員(特に介護保険事業に携わっている会員)は地域住民の立場に立ち、公平公正な介護保険・障害者総合支援等の運営が継続できるように、主治医意見書の作成、介護認定審査会・障害者総合支援審査会に積極的に関わり、また、介護支援専門員と連携し、よりよいケアプラン作成とプランに基づいた介護サービスの実施に協力していかなければならない。

6.訪問看護ステーションおよび居宅介護支援事業所の健全な運営

訪問看護ステーション 平成26年度実績(平成26年4月〜平成27年2月)
総 数 (平均/月) 医 療 介 護
訪問回数 4498回 (408.9回) 1335回 3163回
対象者数 613人 (55.7人) 113人 500人
紹介者数 49人 (4.5人) 9人 40人
居宅介護支援事業所 平成26年度実績(平成26年4月〜平成27年2月)
ケアプラン数 予防プラン数
879件 (79.9件) 27件 (2.5件)
平成26年度は11ヶ月で前年度の実績に達しており、月平均でみると訪問回数で18.6%、対象者数で8.4%の増加となっている。内容も医療保険での訪問が増え、医師・会員に加え、他の居宅支援事業所や連携室などからの紹介が増える傾向にあり、地域における本事業の果たす役割は拡大している。平成26年度に開設された荒尾市在宅医療連携室「在宅ネットあらお」とともに、荒尾市における「地域包括ケアシステム」を構築していくうえで枢要な拠点となることが期待されるため、更なるスタッフ数の充足とサービス内容の充実を図っていく。

7.個人情報保護法の遵守と情報化社会への対応に関する事項

個人情報保護法に関しては医療介護と共にその遵守につとめなければならない。
インターネットによる情報収集、伝達の手段として会員各位はパソコンを設置し、インターネットを利用した医師会ホームページを情報伝達手段として推進する。

8.会員福祉の増進

(1)厳しい医療環境の中であればこそ、会員の意思疎通をはかることが大切であり、会員および婦人会会員相互の親睦をはかる為、旅行・ゴルフ・登山・カラオケ・麻雀大会など各種レクレーションを充実し、多くの会員が参加できるよう企画する。
(2)医療事故・医療トラブルの緩和のために相談できる弁護士の推薦リストを作成している。事故ある時は医師会に届けるとともに、ケースにより推薦弁護士、県医師会処理委員会に相談し、任せて本来の仕事に専念できるように努める。
(3)労働保険事務組合の円滑な運営に努める。

9.広報活動の充実

激変する社会・医療情勢の中、迅速かつ適確な情報伝達を内外に向けて発信し、医師会活動のPRに努める。

10.医療経営の安定化と医師会活動の強化に関する事項

医療の公共性のもと、医療の安全を図ると共に、地域住民に良質の医療を提供するためには、医療基盤の確立が必要である。そのためには会員各位の医政に対する意識の改革が必要であり、強力な医政活動が必要である。日本医師会長をバックアップして、政権与党に影響を与えうる医師会を目指していく。

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